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フロッシングでファシアの滑走性を上げる

最近、コンプレフロスバンドというものを導入しました。

※本記事は『イージーフロッシングマニュアル』を基に作成・引用しております。

コンプレフロスバンドとはドイツで著名なスポーツ理学療法士 スベン・クルーゼと サンクトバンド社との共同研究によって、スベン・クルーゼが言う、「Easy Flossing」のコンセプト をに基づき開発されたゴムバンドです。ゴムバンドを身体に巻き付けて圧迫し、皮膚、関節、筋肉をストレッチやトレーニングを行うことで、ファシア(筋膜)の状態を改善し、関節可動域の増加、身体動作の違和感を軽減する効果が期待できるコンディショニングツールです。
日本では最近導入されたばかりのツールですが、欧州ではスキー強国のナショナルチームに導入されており、オリンピックの舞台裏でも活躍し、選手たちのパフォーマンス向上を高める役を利をはたしています。
又、最近ではドイツのサッカーリーグである『ブンデスリーガ』でも導入が進んでおり、ケガの予防やケガからの早期復帰をするために使用されています。

1,ファシアとは何か

『ファシアは筋膜であって筋膜でない 』

ファシアという語は、「筋膜」と日本語で訳されます。「筋膜」というと、通常は筋肉の表面の白い膜の部分の事と理解されていますが、ファシアは、実はそれだけを意味しているのではありません。重要なのは、フロッシングが、「筋膜」だけでなく、それを含むファシアのすべてに作用し、機能改善の効果が優れたテクニックになっていることです。ファシアは、コラーゲンと水分を主成分とし、網の目のような構造をしています。筋肉だけでなく、皮膚、骨、神経、動脈と静脈、心臓、肺、脳、脊髄を含むすべての組織や内臓を被い、組織のすき間を埋めるように張り巡らされています。また、靱帯、腱、関節包などは、ファシアが厚く肥大化したものになります。さらに、全身の各部分がほかのすべての部分とファシアによって連結しています。人間は、どんなに激しく動こうとも、どんなに長時間座っていようとも、二本足で立つ構造に戻れますが、それは、全身に張り巡らされたファシアが繊維を伸ばしたり圧縮させたりすることで、高い形状記憶性の構造をつくっているからです。これをテンセグリティ構造と呼びます。個々のファシアがテンセグリティ構造をしているだけでなく、ファシアがつくり出す構造全体も同じくテンセグリティ構造となっているのが特徴です。


 テンセグリティ構造イメージ



2,ファシアがあるから、強く、しなやかに動ける


『可動域低下や筋出力低下は、ファシアの滑走性悪化が原因』

ファシアの状態が良好だと、テンセグリティ構造が強固に機能する可動域が広がり、体の軟性が高まります。より強い力やより速い動きの発揮が可能になるだけでなく、しなやかな動き、イメージ通りの動きができるようになります。瞬発的な動きをしても、体がついていくことができてバランスがとりやすくなるため、疲れにくく、ケガもしにくくなります。スポーツにおいても、日常生活においても、円滑で効率がいい状態といえます。ファシアは、コラーゲン繊維と水が融合して膜構造体をつくり出しています。その膜構造が、関節を動かしたときに周辺組織と滑走することで、全可動域におけるスムーズな動きを実現しています。この滑走性がなくなると、可動域が制限され、柔軟性が低下してしまいます。筋肉は、皮膚に近いほうから、筋外膜、筋周膜、筋内膜、筋鞘と、4つのファシアの膜を持っています。筋肉に力を入れた際には、筋肉の細かい繊維がこの膜を滑り、筋肉が縮んだり膨らんだりします。膜の滑走性がないと、筋肉の繊維がうまく滑らず、筋肉を思うように動かすことができません。筋肉の繊維が一部だけしか使えていない状態になってしまいます。すると、100の力を100本の繊維で出す予定だった筋肉が、50本の繊維しか使えない状態で100の力に挑まねばならなくなります。その、50本の繊維には2倍の負荷がかかり、すぐに疲弊します。筋大きくても効率よく使えない状態にあり、筋出力が低下してしまいます。


3,ファシアはなぜ悪くなるのか


『ファシアの癒着を破壊すれば、パフォーマンスが向上する』
ファシアの内部には毛細血管が張り巡らされ、ファシアは、水分、供給を毛細血管内の血液から受けることで、代謝を起こしています。ファシアの成分の約60〜85パーセントを占める水分は、毛細血管から血漿成分(間質液、組織間液)が漏れ出して供給されているのです。毛細血管が傷ついたり圧迫されたりすると、水分の供給が止まります。ファシアは、「脱水状態」になってコラーゲン濃度が高まり、繊維化し、粘性が増してしまいます。運動不足や同じ姿勢を長時間とる生活を続けると、そのような状態になります。ランニングで追い込んだときにつりそうになった足、手術で切られた部分、ケガを繰り返している部分なども、ファシアの脱水状態を起こします。また、捻挫や打撲などで内出血すると、血管から血小板が出て血を止めますが、それと同時に、ファシアでできている膜と膜や、ファシアとその周辺の組織に「癒着」をつくってしまいます。脱水状態や癒着がファシアの滑走を妨げ、あらゆる機能障害を引き起こす可能性を生じさせやすくなります。つまり、関節可動域の減少、筋力の低下、痛みを発生しやすく労物質の蓄積による倦怠感を引き起こすのです。ファシアは、コラーゲンと水などで構成されているので、非常に変化しやすい組織です。ケアをしっかりと施すことで、日常生活やスポーツのパフォーマンスを高められ、ケガの予防や改善を実現することができます。



4,フロッシングとは何か

『関節と筋肉を圧迫する運動で、ファシアを改善する』

ファシアの状態を手軽に改善できるテクニックが、フロスバンドを使ったイージーフロッシングです。関節や筋肉にゴムバンドを巻きつけて可動域改善やトレーニングを行うメソッドがフロッシングで、近年注目を浴びています。イージーフロッシングは、ドイツのスポーツ理学療法士、スヴェン・クルーゼ氏が提唱したもので、効果が非常に高いコンディショニング・メソッドです。なお、コンプレフロスは、イージーフロッシングのためにクルーゼ氏とマレーシアのサンクチュアリーヘルス社が共同で開発した、天然ゴム製のフロスバンドです。これを体に巻きつけて圧迫し、その状態で身体を動かすことで、異常なファシアを正常化させます。効能については、関節可動域の拡大や筋パフォーマンスの改善が期待できます。ウォームアップに使用すれば、動作時の違和感を軽減し、より滑らかで質が高い動きを可能にします。さらには、日常動作におけるハリやコリなどの違和感に対するケアとしても活用でき、ストレッチと組み合わせての使用や倦怠感の改善にも奨励されるものです。